イチ建築屋として、引渡時に感じるモヤモヤ。その原因と対策について考えてみた
今回タイトルつけるの難しくて、そのまま長く書きました(笑)
『建築士は生活のデザインをしている』どこかでこんな文章を見た。
うんうん、確かにそのとおり。
だがその『生活』を確認することはできない。
なぜならそれが始まるのは引き渡し後だからだ。
引き渡しを境に、作った家は他人の家となる。
もちろん、勝手に入ってはいけない。
はたして施主はこの家で、満足した『生活』を送れるんだろうか。
それを確認するすべがない。
採光・間取り・造作・設備・仕上・・・すべて妥協せず、
いい家になったと言い聞かせども、どうしても引渡の時の
がらんどうの状態は寂しく、不安になる。
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収納の中はどんな感じに物が入ったんだろうか。
コンパクトなLDK、実際狭くないだろうか。
インナーバルコニーではBBQしてるのだろうか。
立水栓もあるけど、プール出してるのだろうか。
寒い時期どうしてるのだろうか。
外とつながりを作った大窓、奥さんは満足しただろうか。
万年カーテンになってないだろうか。
ペットの猫はどう過ごしてるのだろうか。
壁沿いの造作キャットウォーク、使って移動してくれてるだろうか。
中庭はどうなったのだろうか。
ご主人はほんとに風呂出た後、一服してるだろうか。
トレーニングルームの黒板には、何が書かれてるんだろうか。
どんな器具が置かれて、どのくらいの頻度で使ってるのだろうか。
たくさん作ったニッチは、どんなテーマで、何が飾られたのだろうか。
季節ごとにマメに入れ変わってるのだろうか。
見せる収納、どんな食器が並んでるのだろうか。
意外と収納ボックスが立ち並んでたりするだろうか。
勝手口のシャワー、使ってるのだろうか。
泥だらけの息子さん問題は解決してるだろうか。
屋上は使ってるんだろうか。
日向ぼっこしてるんだろうか。
5才の娘さんは2階のホールから吹き抜け越しに、
キッチンにいるママに声掛けてるんだろうか。料理に興味を持ったのだろうか。
高1の息子さん。自分の部屋、
黒系のクロス、黒系の床材、1面石目タイルのアクセント壁だが
どうコーディネートしたんだろうか。
e.t.c
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こういう事に答えられれば、
少しは不安はなくなりそうなのに。
今後の仕事にもっと反映できそうなのに。
設計段階で描いた『生活』と、
リアルな『生活』の答え合わせがしたい。
春夏秋冬、1週間くらい居候して、
暮らしぶりを観察したいくらいだ(笑)
あー、施主と友達になって、引渡後も定期的に宅飲みに行く、
そんな事務所は日本の、いや世界のどこかにあるんだろうか。
そんなところがあったらぜひ就職したいね。
・・・あ、自分がそれを立ち上げればいいのか!
無理かなぁ~。みんな無理って言いそうだな~。
でもそんな風になるといいなぁ~。