『一流のモノには、そうなっただけの理由がある』 夢のホテルの作り方/稲葉なおと
まだ途中までしか読んでないけど、面白いので書く。
この本は40個ほどの有名ホテルをとりあげて、
それがめでたくオープンするまでの諸々
(ホテル計画が出てきた経緯、用地の決まり方、
設計者の決まり方、ハプニング、などなど)
のエピソードがホテルの写真とともに収録されている。
著者は、自身も一級建築士で、作家の方。
特にホテルに造詣が深いようで、実際に自分で泊まり歩いているくらい。
出てくるホテルはすべて一流、かつ魅力的で、
全部泊まりたくなってしまう。死ぬまでにいくついけるかなー。
読んでいて一番感じるのは、建物づくりに関わった人々の熱量だ。
事業者・設計者・施工者とも一切妥協がない。
まぁ読み物として面白くなるように文章表現している部分もあるのかもしれないけどさ。
まず事業者がみんな『こんなホテルを作りたい!』というビジョンが明確にある。
設計者は、事業者の想いを汲んで、それを超えようと細部までこだわり尽くす。
施工者は『こんな細かいとこまで指定して作るのかよ』
とか思ったかもしれないけど、最終的にはそれを具現化する。
この本に出てくるホテル、明治~昭和に竣工したものがほとんどなんだけど、
そのどれもが、現役で使われている。
(ホテルではなくなっても、別の用途で使われ続けてる)
もちろん大規模な建物だから、メンテ費用も莫大にかかるんだろうけど、
コストカットのため取り壊す、という選択肢が取られない。
それだけ関わった人々の熱量が高いから、
作り手の想いのこもった建物を長く使い続けよう、引き継ごうと思う人が現れるのだなと。
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話変わって、現代の住宅事情について考えてみると。
ご存じの通り空き家が増え続けるという問題がある。
これ、関係者の『家を建てる』事への熱量が無い事が原因の一つなんじゃないか。
いま、家を購入する人(=事業者)の多くは、
建売で、とにかく安い家が欲しい。
自分でこだわりをもって作る手間・お金はかけたくないという考え。
建売業者(=設計者&施工者)も、
限界までコスト削って安く土地買って安く建てて、数売って、
その時だけ儲かりゃいいやって感じ。
だから買ってからもメンテにお金かけようなんて思わない。
で、十数年経って、子供が独立して、
広くて持て余すし、なんか見た目も中身もボロボロになってきたから住み替えようってなって、
その家は空き家として放置されて、誰も買わない。
でも建売業者は相変わらずどんどん新しい分譲地を作って、
みんなとりあえず、こだわりはないけど安い新築が買えるから、飛びつく。
そして家の数だけは増える。
さすがに話広げすぎましたが、
昨今の問題の根っこはそういう所にあるんじゃないかなと感じました。
建築の本だけど建築の専門用語は出てこないので誰でも読めます。
面白いので是非に。
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私が喜びます(笑)